(渡辺班:平成24年1月26日)
|
| 1.手術適応 |
(1) |
絶対的手術適応 |
| |
@穿孔、大量出血、中毒性巨大結腸症、内科的治療で改善しない腸閉塞、膿瘍(腹腔内膿瘍、後腹膜膿瘍)
A小腸癌、大腸癌(痔瘻癌を含む)
〈注〉@は(準)緊急手術の適応である。
|
(2) |
相対的手術適応 |
| |
@難治性腸管狭窄、内瘻(腸管腸管瘻、腸管膀胱瘻など)、外瘻(腸管皮膚瘻)
A腸管外合併症:発育障害など(思春期発来前の手術が推奨される。成長障害の評価として成長曲線の作成や手根骨のX線撮影などによる骨年齢の評価が重要であり、小児科医と協力し評価することが望ましい。)
B内科治療無効例
C難治性肛門部病変(痔瘻、直腸膣瘻など)、直腸肛門病変による排便障害(頻便、失禁などQOL低下例)
|
| |
2.術式の選択
外科治療の目的は内科治療に抵抗する合併症の除去であり、術式は短腸症候群の回避など長期的なQOLの向上を考慮して選択する。全身状態不良例では二期的吻合も考慮する。
|
(1) |
小腸病変 |
| |
腸管温存を原則とし、合併症の原因となっている主病変部のみを対象とした小範囲切除術や限局性の線維性狭窄では狭窄形成術を行う。狭窄形成術では可能な限り、病変部の生検を行う。
〈注〉手術時には可能な限り、残存小腸長を記録する。
|
(2) |
大腸病変 |
| |
病変部の小範囲切除術を原則とする。病変が広範囲、または多発し、直腸病変が比較的軽度で肛門機能が保たれている場合には大腸亜全摘、自然肛門温存術を行う。直腸の著しい狭窄、瘻孔には人工肛門造設術(直腸切断術を含む)を考慮する。
|
(3) |
胃十二指腸病変 |
| |
内視鏡的拡張術が無効な十二指腸第1部から第2部にかけての線維性狭窄例には胃空腸吻合、または狭窄形成術を行う。狭窄形成術は手技上困難なことが多く、あまり行われない。
|
(4) |
肛門部病変(詳細は「クローン病肛門部病変に対する治療指針」を参照) |
| |
直腸肛門病変には「クローン病特有原発巣」(primary lesion:クローン病自体による深い潰瘍性病変)、「続発性難治性病変」(secondary lesion:原発巣から感染などによって生じた痔瘻などの2次的病変)、「通常型病変」(incidental lesion:クローン病と関連のない通常の病変)があり、クローン病特有原発巣の有無などで病変を的確に診断して病態に適した治療法を選択する。
最も多い難治性痔瘻には腸管病変に対し内科的、外科的治療を行い、seton法などの局所治療を行う。難治性肛門病変、保存的治療で改善しない直腸肛門狭窄例、直腸膣瘻には入工肛門造設術を考慮する。難治例は専門家による治療が望ましい。
〈注〉腸管腸管瘻では主病変の腸管切除と瘻孔を形成した病変部でない腸管の瘻孔部楔状切除を行う。
|