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医療関係者の方へ

顆粒球吸着療法とは

東京山手メディカルセンター  内科・消化器内科(炎症性腸疾患) 副院長 髙添正和 先生

はじめに

顆粒球吸着療法は、炎症性腸疾患に対して使用可能です。本法は炎症の原因となりうる顆粒球を選択的に除去および機能を変化させることによって炎症を鎮める効果があります。この治療は潰瘍性大腸炎に対して2000年4月より、また2009年1月からはクローン病に対しても保険適用となりました。

※2012年10月より膿疱性乾癬に対しても保険適用となりました。
 ここでは炎症性腸疾患に対する顆粒球吸着療法についてご説明します。

顆粒球とは

顆粒球は白血球の中の1つで、元来は外から入ってきた細菌やウィルスなどから体を守る、生態防御として大切な役割をもった血球です。しかし、炎症性腸疾患の患者さんの腸には、白血球(特に顆粒球)が集まり、本来守るべき自分の体の一部である腸を攻撃します。この状態が潰瘍を悪くしたり、治りを遅らせたりします。

治療方法

顆粒球吸着療法は、血液を一旦、体外に連続的に取り出し、炎症に関与している顆粒球を選択的に除去する医療機器(顆粒球吸着器)に通し、その後血液を体内に戻すものです。血液を取り出す際には腕などの静脈から脱血しますが、血液透析などのようにシャントと呼ばれる脱血用の血管を作っておく必要はありません。この様に血液を体外に取り出す治療法は体外循環療法(血液浄化法)と言い、日本や欧米ではいろいろな疾患や難病で数多く行われています。
治療は基本的には1回約60分の治療を5-10回行います。患者さんの病状にもよりますが、必ずしも入院でなければ受けられない、という治療ではありません。

治療効果

顆粒球吸着療法を行うと、下痢や血便、発熱などの症状、また、内視鏡的にも改善される結果となっています。当院では、潰瘍性大腸炎患者さん55人中、症状が改善された方が40人(約72.7%)でした。なお、当院では、その他の白血球系細胞除去療法も導入しておりますが、治療を受けられた患者さんの数が違っているものの、治療効果があった方は、下表のとおりでした。

当院における潰瘍性大腸炎に対する白血球系細胞除去療法の有効性

治療法 有効率(%)
顆粒球吸着療法(GCAP) 72.7% (40/55)
A法 60.0%(12/20)
B法 66.7%(8/12)

第11回日本アフェレシス学会 関東甲信越地方会 発表

症例報告

当院の患者さんの症例を示します。
1993年に発症した27歳、男性。全大腸炎型の潰瘍性大腸炎。1999年に下血を繰り返し、プレドニゾロン(PSL) 60mg/日でコントロール。1999年12月退院しましたが、PSL減量中に増悪を繰り返すため、2000年11月27日に当院を受診し、12月1日より1回/週、計10回の顆粒球吸着療法を行いました。治療前はPSL10mg/日、ペンタサ2,250mg/日を服用。症状は、便回数8回/日で下血もありましたが、10回終了後は便回数が3回に減少し下血が消失しました。PSLは5mg/日に減量となりました。また、臨床症状だけでなく、内視鏡的所見、レントゲン所見も図のように改善され、寛解となりました。PSL5mg/日、ペンタサ2,250mg/日で寛解維持ができています。

予想される副作用

潰瘍性大腸炎ならびにクローン病に対する治験の結果では、副作用は頭痛・嘔気・めまい等、体外循環特有の症状が見られましたが、いずれも一過性で軽度であったと報告されています。【参考文献:下山 孝 他.日本アフェレシス学会雑誌 18:117-131,1999、Fukuda Y, et al. Journal of Gastroenterology 39:1158-1164, 2004】 当院でも頭痛以外には、特に問題となった副作用は発生していません。

医療費個人負担について

活動期の潰瘍性大腸炎の重症、劇症および難治性の患者さん、および栄養療法や既存の薬物療法が無効または適用できない、大腸病変による臨床症状がある中等症から重症の活動期クローン病患者さんが保険の対象です。
指定難病の医療費の助成を受けている方は、顆粒球吸着療法に対する特別な負担はありません。医療費助成対象疾病(指定難病)の申請をされれば、医師が判断した日に遡って公費負担を得ることができます。 助成を受けていない患者さんの場合は、1回の治療につき143,000円の3割をご負担いただくことになります。