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診断と治療:小児クローン病の治療指針

2018年3月改訂

小児期クローン病の治療原則

  • 寛解導入療法および寛解維持療法は、栄養療法を中心に行う。
  • 診断時にすでに成長障害・骨年齢遅延などが認められることが少なくない。小児は心身の発達過程にあることから、二次性徴を含めた正常な成長と発達を達成することが求められる。そのため、成長曲線を活用した身長・体重の定期的なチェックや、心理的・社会的サポートが必要とされる。またステロイドは寛解維持に有用ではなく、ステロイドを漫然と投与すると成長障害の原因となる。
  • ステロイド依存の小児でもアザチオプリン・6-MPは、ステロイド減量や離脱に有用である。さらに寛解維持にも有用である。アザチオプリン・6-MPが無効あるいは禁忌の患者ではメトトレキサート(メソトレキセート®)も選択薬の一つである。
  • 免疫調節薬の適正使用にもかかわらず慢性活動性の経過をたどる小児、また、肛門周囲病変として活動性痔瘻を伴う小児では、生物学的製剤(インフリキシマブ(レミケード®)あるいはアダリムマブ(ヒュミラ®))による寛解導入ならびに寛解維持療法が推奨される。しかしながら、その使用に当たっては、専門家へのコンサルトが勧められる。6歳未満の小児患者におけるインフリキシマブとアダリムマブ、小児患者におけるウステキヌマブ(ステラーラ®)の効果と安全性についての情報は限られており、そのメリットがデメリットを上回ると思われる場合のみ、その慎重な使用が考慮される。なおアザチオプリン・6-MPと生物学的製剤の併用例について特に若年男性でhepatosplenic T cell lymphomaを含む悪性腫瘍の発生が報告されており、十分に注意すべきである。
  • 薬用量は原則として体重換算で決める。
  • 寛解導入および維持に使用する薬物(下記)は、ほとんどが小児では保険適応外である。したがってその使用にあたっては、本人・家族に効果と副作用について詳しく説明して、十分な同意を得ることが望ましい。

小児における栄養療法の原則

寛解導入療法は、経腸栄養剤による栄養療法が中心であり、1日の全必要エネルギー量を投与する(学童では50~60kcal/kg/日)。成分栄養剤(ED:エレンタール®など)のみで長期間栄養療法を行う場合には経静脈的に脂肪乳剤を補う(5~10mL/kg体重/日、週1~2回)。寛解維持の経腸栄養療法としては、全摂取カロリーの30~70%をEDで摂取する。長期にわたり経腸栄養療法を行う場合には、必須脂肪酸やセレンを含む微量元素の欠乏に留意する。

詳細は「小児クローン病治療ガイドライン」日本小児科学会雑誌2013;117:30-37.参照のこと。

小児薬用量

(1)5-ASA製剤

①ペンタサ®顆粒/錠 (50~100mg/kg/日:最大量3~4g/日)
②サラゾピリン®錠 (40~100mg/kg/日:最大量4g/日)

(2)経口・静注プレドニゾロン、経口ブデソニド

プレドニン®(1~2mg/kg/日:最大量40~60mg/日)
ゼンタコート®(1日朝1回9mg、年齢と体重により適宜調整)

(3)免疫調節薬

①アザチオプリン(イムラン®・アザニン®など) (1.0~2.0mg/kg/日:分1)
②6-MP(ロイケリン®) (0.5~1.0mg/kg/日:分1)
アザチオプリンは、0.5~1.0mg/kg/日で開始し、適宜増減する(最大量2.0mg/kg/日)。6-MPはアザチオプリンの概ね半量を目安とする。
③メトトレキサート(メソトレキセート®) (10mg/m2週1回皮下注:最大量15mg/m2、寛解後は週1回内服)。アザチオプリン・6-MPが無効あるいは禁忌の患者に対して試みる。

(4)抗菌薬

①フラジール® (15mg/kg/日:分2 経口)
②シプロキサン® (20mg/kg/日:分2 経口か点滴静注、最大量400mg/日)(15歳未満の小児では禁忌とされるため、治療上の有益性を十分に考慮する必要がある)

(5)生物学的製剤

インフリキシマブ(レミケード®)の用法、用量は成人と同様で、寛解導入療法では5mg/kgを0、2、6週で投与し、以後8週毎に同量を維持投与する。効果減弱症例では、10mg/kgまでの増量投与や、5mg/kgを最短で4週間隔の短縮投与が行われることもある。アダリムマブ(ヒュミラ®)による寛解導入療法では、初回2.4mg/kg(最大160mg)、2 週後に1.2mg/kg(最大80mg)、それ以降は2 週毎に0.6mg/kg(最大40mg)で維持投与する。その他に、40kg未満では80mg→40mg→20mgで、40kg以上では、成人同様160mg→80mg→40mgで寛解導入ならびに維持療法を行う方法もある。
投与方法および投与量は「小児クローン病治療ガイドライン」本文の記載を参照のこと。

小児クローン病:活動期の治療

出典: 小児クローン病治療指針(0.73Mb), 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班) 平成29年度総括・分担研究報告書. p75-76, 2018年3月