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アダカラムインタビュー記事シリーズ

GMA 20年の臨床知見からの提言

IBDの長期寛解に向けた生物学的製剤とintensive GMA併用の可能性

名古屋市立大学大学院医学研究科
消化器・代謝内科学
講師 谷田 諭史 先生

名古屋市立大学におけるIBD診療の実際

 名古屋市立大学では、IBDに対して、上皮成長因子受容体(EGFR)を介した炎症性サイトカインと発癌との関係1)などの基礎研究に取り組むとともに、臨床においても各種生物学的製剤(Bio)や顆粒球吸着療法(GMA)などを先駆的に導入し、新たな知見を提示してきた。

 その一例として、日本に先行して海外においてアダリムマブ(ADA)投与を受けていたクローン病(CD)患者が、来日時にADA二次無効に至ってしまい、ADAと週2回治療のGMA(intensive GMA)にて対応を行ったケースなどをいち早く報告している2, 3)

 このようなBio登場以降のIBD治療について、谷田先生は『Bioは、IBD治療に大きな進展をもたらしましたが、留意すべきは、ACT試験4)やULTRA試験5)などの各種臨床研究におけるBio単剤による臨床的寛解率は、10%台~30%台の報告が多い点です。実臨床において、Bioを単剤で用いた場合、当然ながら臨床研究と同様の寛解導入率に留まるため、私たちIBD専門医は、薬剤やGMA、栄養療法などによる集学的治療を行い、いかに寛解導入率を100%に近づけるかが重要な使命と考えています。』と述べられた。


長期寛解維持に向けて粘膜治癒を目指す治療を

 IBDの非薬物療法であるGMAは、特に重症例において、Bio同様に単独治療では寛解導入の向上に限界を認めるのが実情である。そして入院中を除き、intensive GMAでは週2回×5週の通院が求められる。これらの点について、谷田先生は『IBD治療においては、投与する薬剤の種類が増加しやすく、患者さんも安全性に不安を覚える場合が少なくありません。一方GMAは、あくまで非薬物療法であり、顆粒球や単球を吸着除去、いわば"引く治療"と説明しています。

 更に、GMAによる"引く治療"が、サイトカインや接着分子の発現を抑制し、Bioと異なる作用機序によって、併用時に効果の底上げが期待できる点に関しても説明しています。これらの説明により、Bioと intensive GMAが寛解導入率の向上や粘膜治癒に寄与する可能性について理解が得られると、週2回の通院も受容されやすいものと捉えています。』と、ご自身の経験を基に述べられた。

 実際に、名古屋市立大学における検討では、タクロリムスへの反応が低下したステロイド抵抗性もしくは依存性の難治性UCに対して、ADAとintensive GMAによる治療10週後の寛解導入は9例中5例であり、粘膜治癒が9例中6例に認められた【図】。そして、9例中3例では、52週時点でも寛解が維持されていた。同様に難治性CDに対しても、ウステキヌマブとintensive GMAにより、治療10週後におけるステロイドフリー寛解は4例中3例、52週でも3例中2例で長期寛解が認められた6)

 これらの結果について、谷田先生は『従来、消化性潰瘍治療において、攻撃因子と防御因子の制御の概念があったように、IBD治療においても多面的なアプローチは治療成績の向上に寄与する可能性が高いと考えます。特にBioの二次無効例に対しては、効果が減弱するたびにBioを変更するのではなく、GMAの併用により粘膜治癒を目指す治療戦略が望ましいのではないでしょうか。』と述べられた。


多職種連携に向けた今後のGMA治療の展望

 現在、IBDに対する集学的治療の実現に向けて、多職種連携や病診連携、病病連携などの体制構築が、より一層求められている。

 GMA導入に関しても、チーム医療の推進が望まれるが、この点について谷田先生は『名古屋市立大学では、透析室との連携により1日5-6人のIBD患者にGMAを実施しています。近年は、病病連携を行っている名古屋市立緑市民病院においてもGMAを導入しましたが、いずれも技士や看護師のモチベーション向上を実感しています。すなわち、IBD患者の状態を直接目にしたり、話したりする機会の多い職種では、担当患者の症状改善がモチベーション向上につながりやすく、さらなる多職種連携の推進に寄与するものと考えます。そして、モチベーションが高い状態にあるチーム医療では、個別のIBD患者に最適化された医療の提供に、より近付けるのではないかと期待しています。』とまとめられた。

名古屋市大谷田先生_入稿用図表.jpg

1) Tanida, S. et al.:Gastroenterology, 127(2), 559-569, 2004
2) Ozeki, K. Tanida, S. et al.:Intern. Med., 51(6), 595-599, 2012
3) Ozeki, K. Tanida, S. et al.:Case Rep. Gastroenterol., 6(3), 765-771, 2012
4) Rutgeerts, P. et al.:N. Engl. J. Med., 353(23), 2462-2476, 2005
5) Reinisch, W. et al.:Gut, 60(6), 780-787, 2011
6) 谷田 諭史 ほか:日本消化器病学会雑誌, 116(suppl-1), A396, 2019 (第105回日本消化器病学会総会, 2019年5月)


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