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GMA20周年特設ページ:GMA治療の歩みと可能性

Adacolumn 20th Aniversary

アダカラムインタビュー記事シリーズ

GMA 20年の臨床知見からの提言

全国のIBD専門の先生方から、最新のIBDにおける治療環境を踏まえた上で、様々な角度からGMAの日常診療における活用方法や工夫、メリットや課題をお話しいただきます。

埼玉県アダカラム
インタビュー記事シリーズVol. 3

高齢発症IBD患者における課題とGMAに期待される役割

埼玉医科大学総合医療センター
消化器・肝臓内科
 准教授
  加藤 真吾 先生(写真中央)
 講師
  可児 和仁 先生(写真左)
 助教
  石橋  朗   先生(写真右)

近年、高齢IBD患者が増加しています。高齢者では、感染症に対して脆弱性を示すなど治療が複雑化しやすい傾向があります。そこで、高齢者を診療する際の注意点と、GMAの可能性についてお話を伺いました。

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埼玉医科大学総合医療センターにおけるIBD診療の実際

 埼玉医科大学総合医療センターは、埼玉県西部における炎症性腸疾患(IBD)診療の基幹施設として、内科的、外科的治療はもとより、医療に関する研究、患者会との連携まで多面的な形でIBD患者をサポートしている。そして、カプセル内視鏡(CE)をクローン病(CD)の診断に積極的に導入するなど、検査におけるIBD患者の負担軽減を図っている。

 この点について、加藤先生は『CEは侵襲が少ないにも関わらず、空腸と回腸におけるCDに特徴的な所見を観察可能であり、診断および治療評価に有用となります。ただし活動性が高いCDでは、約1/3においてパテンシーカプセルによる検査で開通性を認めず1)、さらにパテンシーカプセル自体が滞留して、稀に一過性の腸閉塞を惹起する場合もあるため2)、CDに対するCEの適応は病態を鑑みて判断する必要があると考えます。』と述べられた。


高齢発症IBD患者における治療上の留意点

 近年、日本は超高齢社会に移行し、高齢発症IBD患者および若年発症し高齢化したIBD患者が増加している。従来、潰瘍性大腸炎(UC)では、60歳以上の高齢発症の場合、軽症で直腸炎型が多いとされてきた3)。しかし、現在の実臨床において、高齢発症UCは重症化しやすい印象を持たれており4)、今後、全国規模での検証が望まれる。

 埼玉医科大学総合医療センターは、施設の性質上、重症UCの紹介が多く、さらに高齢者では免疫能や代謝機能の低下、併存症、感染症などに対する注意が必要となることから【表 上段】、治療に難渋するケースも少なくない。

 これらの点について、石橋先生は『高齢者UCでは、感染症の症状が不顕性になりやすいことから、紹介時に改めて肺炎などのスクリーニングやリスク評価が必要と考えます。特に高齢者UCに対しては、ステロイドのみならず、生物学的製剤(Bio)の投与時にも感染症に対する十分な注意が求められるため、これらの薬剤を投与する際には、感染リスクの上昇について、本人と家族に伝えた上で、発熱や疲労感、疼痛などの兆候を見逃さないように説明しています。』と述べられた。


高齢者IBDに対するGMA治療の意義

 感染症をはじめとして様々な課題を有する高齢者IBDに対して、顆粒球吸着療法(GMA)は非薬物療法として期待されている。例えば、Bio投与中に急性増悪し、感染症合併が否定できず、Bio増量やステロイド投与が躊躇される場合、再寛解導入療法としてGMA集中治療も選択肢の一つとなる5)

 このような安全性の考慮が必要となる高齢者IBD治療について、可児先生は『治療中の合併症として、呼吸器感染とカテーテル感染は頻度が高く、注意が必要となります。特に、Bio投与時のニューモシスチス(カリニ)肺炎は、決して稀な感染症ではないことから、カルシニューリン阻害薬など複数の免疫抑制薬を併用する場合には、予防対策の検討が望まれます6)

 ステロイドを高齢IBD患者に投与する際は、効果発現と安全性について入念に観察し、漫然とした投与を避けることが、より一層重要です。そして、ステロイドの減量を図る場合は、GMAとステロイド注腸の併用が有用ではないかと考えます。』と述べられた。

 さらに、加藤先生は『ステロイド依存例に対するGMAについては、ステロイド注腸との併用以外にも、チオプリン製剤を追加した際の効果発現までの期間を補う役割としても期待しています【表 下段】。また、高齢者に多い低アルブミン血症では易感染性のため、薬物療法による感染リスク上昇が危惧されるため、GMAが選択肢の一つとなります。』と追加された。


今後の高齢者IBD診療における地域医療連携

 現在、IBD患者のQOLや利便性の向上のために、クリニックや専門施設などによる地域医療連携が着実に推進されている。このような状況の下で、高齢IBD患者を専門施設へ紹介する際の留意点について、加藤先生は『IBD治療において、高齢者と若年者では効果に大きな差は認められませんが、合併症を含む有害事象のリスクは高齢者において上昇するため、安全管理に注意深く取り組む必要があります。例えば、ステロイド抵抗例で全身状態が悪化してしまうと、手術しか選択肢が残されていない状況に陥りやすくなります。

 従って、私たちは地域における勉強会や研究会などで、特に高齢者IBDに対しては、なるべく早期の段階から連携を進められるよう各医療機関に協力を依頼しています。それにより、GMAをはじめとした多くの選択肢による治療が可能となり、高齢IBD患者のQOL改善に大きく寄与できるものと考えています。』とまとめられた。

埼玉医大_図表.jpg

1) 可児 和仁 ほか:日本消化器病学会雑誌, 111(suppl-1), A386, 2014 (第100回日本消化器病学会総会, 2014年4月)
2) Kato, S. et al.:Dig. Endosc., 28(4), 481, 2016
3) Fujimoto, T. et al.:Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 19(3), 229-235, 2007
4) 加藤 真吾 ほか:IBD Research, 12(4), 222-225, 2018.
5) 石橋 朗 ほか:日本消化器病学会雑誌, 114(suppl-1), A334, 2017 (第103回日本消化器病学会総会, 2017年4月)
6) Rahier, J.F. et al.:J. Crohns Colitis, 3(2), 47-91, 2009